第14話 電化製品なんて嫌いだ!
目が覚めると朝だった。
どうやら田中くんのおかげで、夜中に目覚めるパターンを変えることが出来たみたいだな。
よし、早速本日の召喚でもしますか!
すぐにやらなきゃ、どんどん召喚する時間が先延ばしになって行くので、損をしてしまうのだ。
しかし召喚をすると、おそらく2時間くらい気を失うから、すぐ用事がある時なんかはやらない方が良さそうだな。
いつもの召喚場所に移動する。
電子レンジはハズレだったけど、その後2回続けて使える物が出て来た。
今回も何か役に立つアイテムが出るといいんだけど・・・。
「何でもいいから使えるので頼む。召喚!!」
ヴォン!
光が雲散し、そこに出現していたのは、俺の知っているアイテムだった。
「ファミファミじゃん!!」
昔懐かしの家庭用ゲーム機である。
どうせなら最新式のゲーム機が出ればいいのに、なぜこんな昔流行したヤツが出るかなあ・・・。しかも裏返しに出現したから、最初少し混乱したし。
けどこれと同じモノがウチにもあったんだよね。
父さんが昔買って遊んでたヤツらしいんだけど、ゲームも20本くらいあったな。
保存状態が良かったようで、1年程前に俺が試しに起動させてみたらその時はちゃんと動いた。
おお!?クエクエのカセットが挿さったままじゃん!
アダプターとかも全部揃ってるな。
うわ~、久々に遊んでみてえ。・・・でもな。
「テレビもねえ!ラジオもねえ!おらの家には電気がねえ!!」
―――そう叫んだところで気を失った。
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目が覚めて顔を洗って歯を磨き、今日もガールハントのために広場へ出発。
すると昨日と同じベンチで文学少女が本を読んでいるのを発見したので、隣に座ったらまた肉を奢ってもらえた。
その後、勉強の続きをしてからお別れしたんだけど、別れ際に抱きしめられてクンカクンカされた。
やはりあのお姉さんは少し危険である。
肉も奢ってくれる大事な先生なので、多少のクンカクンカは大目に見ようと思うけど、深入りは禁物かもしれない。
匂いを嗅がれたのが気にかかり、我が家に入る前に裏の小川で水浴びをして歯も磨いた。
ちなみに歯ブラシは屋敷で発見したヤツなんだけど、たぶん誰かが使った中古品なのでなかなか抵抗がある。
でもダメにしちゃったら替えがあと2本しか無いので(どっちも中古)、こんなんでも大事に使わなきゃならんのですよ・・・。
バタン
寝室に入ってすぐ、ビショビショの服をハンガーに掛けて、バスタオルに包まった。
洗濯はいいんだけど、替えの服が無いから屋敷まで素っ裸なんですよね。
電化製品はもういいから子供服が欲しい。
いや、この屋敷にも服はあったんだけど、貴族のおっさんおばさんの服って感じで、ショタが着るにはちょっとねえ・・・。
裁縫道具があれば自作出来るかもしれんけど、裁縫道具なんてものはまだ見つかってない。
ここはおそらく金持ちの屋敷だから、住人も自分で裁縫なんてしない人達だったのかもしれんなぁ。
「さて、リコーダーの練習でもするか~!」
その時、ファミファミに挿さっているクエクエのカセットが目に入った。
あっ、そうだ!リコーダーといったらクエクエじゃん!
動画サイトでリコーダーを吹いてるのを見たことあるけど、ほとんどゲームの音楽ばかりだった気がする。
テレビが無いのでクエクエで遊ぶことは叶わなかったが、せめてあの曲を再現しようではないか!
このゲームはレベルMAXまでやり込んだので、曲も脳内にしっかり残ってる。
なんせ毎年大怪我してたからな。ゲームばっかやってた悲しい思い出が走馬灯のように・・・。いや、もう考えるのはやめよう。
さて、どうせ他にやることなんて何も無いんだ。完璧に再現してみせようぞ!
ピーープーーー
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目が覚めると朝だった。
そして朝と言えば召喚だ!
まあ多少の時間調整は必要だけど、失敗しても何も起きないだけだ。
ただ高揚した気分が一度萎えてしまうと良い物が出なくなる気がするので、出来ることなら一発でシャキッと決めたいのですよ。
いつもの場所に移動して精神を集中する。
わかってるよな?電化製品だけは何が出てもハズレだ。
そして出て来る物は完全にランダムなので、『〇〇〇出てくれ!』と祈ったところでほぼ無意味だ。
なので俺はこう祈る。
「実用性のあるモノでお願いします!でも電化製品はダメ絶対!・・・召喚!!」
ヴォン!
召喚は成功し、光の中心に俺の良く知るアイテムが出現したのがわかった。
「ドライヤーか・・・。電化製品はダメって言ったじゃん!!」
なるほど、召喚の時にダメって言いながらも電化製品のことを考えていたのが敗因かもしれない。次からは頭の中を完全に空っぽにして召喚することにしよう。
しかし悪い流れだな。
電子レンジ・あひるポンチョ・リコーダー・ファミファミ・ドライヤー。
5個中3個が電化製品とはツイてない。
普通なら電化製品の方こそ当たりなんだろうけど、剣と魔法の世界じゃ必要な物も逆転してしまうのですよ。
発電機でも出てくれれば話は変わるのかもしれんけど、あ、やばい!気絶する。
そう認識した瞬間にフッと全身の力が抜けて、その場で横に倒れた。
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