第7話 お化け屋敷
恐る恐るお化け屋敷に近づいて行く。
「うわあ・・・、これは触りたくないなあ」
屋敷の門の所まで来たんだけど、門には苔がビッシリ生えていて、正直こんな気持ち悪いのを触ったら変な病気になりそうだ。
小っちゃい足でゲシゲシ蹴ってみたけど、鉄の門はビクともしない。
「う~~~ん」
一旦後ろに下がって周りを見てみると、屋敷を囲んでいる塀の一部が朽ちて崩れている場所を発見した。
やった!あそこから入れるぞ!
崩れた塀を乗り越え、屋敷の玄関前に到着。
うへ・・・、このドアも触りたくねえ。うーむ、まずはショタキックだ!
ゲシゲシ
ギギーーーッ
「おおおっ、開いた!!」
何度もキックして、自分が通れるくらいドアを開いた。
ダンッ!
ん?何の音だ??
まあいいや、折角開けたんだし中に入ってみよう。
ソーッ・・・
恐る恐る中に入ると、古ぼけて草臥れ果ててはいるが、昔お金持ちが住んでいたような高級感のある玄関なのがわかった。埃が半端ないけど。
「お邪魔しまーす」
めっちゃ怖いけど、どうにか寝床を確保しなければならない。
ドアがいっぱいあるから、どこかに使えそうな寝室があると思うのですよ。
最悪この玄関で寝ることができるのだから、深く考えず気楽に行こう!
ガチャッ
こっそり部屋の中を覗くと、どうやら大広間のようだった。
やはりこの屋敷には元々お金持ちが住んでいたようで、壁には絵画が飾ってあり、部屋の真ん中辺りに大きなテーブルやソファーが設置されていて、床には豪華そうな絨毯が敷かれていた。
ただ埃がすごいから、あのソファーで寝るには掃除をしなきゃダメだな・・・。
何か面白いモノがないかと思い、部屋を調べてみることにした。
「・・・何の穴なんだろ?」
壁を見ているんだけど、俺の頭の50㎝上辺りに、直径3cmくらいの五つの穴が開いており、反対側の壁にも同じ大きさの穴が五つ開いているのだ。
この世界の今が何月なのかはわかんないけど、壁にこんな穴が開いていたら冬とか寒いだろ。
穴は後で塞いだ方がいいだろな。ショタの手じゃ台に乗らなきゃ届かないけどさ。
でも工具とかがなきゃ塞ぐのも大変だなあ・・・。この世界にガムテープなんてあるのかな?
「あーーーーーっ!」
向こうにも穴が五つ開いてんじゃん!しかもあっちの穴は、台の上に上がっても届かない位置だし!!
反対側の壁を見ると、やっぱりそっちにも五つの穴が開いていた。
ダメだこりゃ。
もう穴は無視しよう。冬までここに住むと決まったわけじゃないんだし、それにまだ他の部屋とか調べてないのだから、どこかに寝室とかもあるだろう。
ん?・・・アレはまさか!?
とてててててててて
おおおおお!やったーーー!鏡を発見!!
青銅鏡ってヤツかな?とりあえず埃をなんとかせんと。
袖で拭こうとしたけど、服を汚してしまうと洗濯も出来ない状況だということに気付き、まずは布を探すことにした。
ってすぐ発見!布にもめっちゃ埃かぶってるけど。
バンッ バンッ
「ケホッ!ケホッ!」
ぐおおおお、マスクとか欲しい。
・・・よし、とりあえずこんなもんだろ!
汚い布で擦り続けると、鏡はようやく本来の輝きを取り戻した。
「・・・・・・な、なんだ、この究極に可愛らしいショタは!!」
サラサラの金髪で瞳の色は蒼く、子供特有のぷにっぷに肌で、男の俺ですらお持ち帰りしたくなるほどの、能力値を『かわいい』に全振りしたとしか思えないショタが鏡に映っていた。
こいつぁやべえぜ・・・。
地味で質素な服を着ているせいで、本来の可愛さの50パーセントしか発揮されていないにも
なるほど、さすが大当たりの特典だ。
金髪碧眼のイケメン(15)を的中させた長髪オタ君も、いつまでも鏡を見ていたいほどの超絶レベルなんだろな~。・・・彼が向かったのはホモの世界だけど。
いや、彼のことを考えるのはもうやめよう。
どんなイケメンに生まれようとも、それが幸せに繋がるとは限らないのだ。
しかし野宿を選択しなかったのは英断だった。
奴隷商に売っ払うような悪人だけじゃなく、普通に暮らしてる善良な市民ですら誘拐という犯罪に手を染めてしまいそうになるほどの魅力溢れるショタが、あんな街中で無防備に眠っていたりなんかしたら、もうそれは自殺行為でしかないだろう。
これからは、いつ如何なる時も最大級の警戒をしながら行動しなければなるまい。
しかし可愛すぎて困るとはな。何か自衛手段を手に入れないと拙いぞ・・・。
ガンッ!ガンッ!
「なんだ!?」
今一瞬、何かが部屋を横切って行ったような・・・。
―――壁に新しい穴が五つ開いていた。
・・・・・・ちょっと待てや。
この家に住んでると、定期的に弾丸が飛んで来るの!?
しかも穴が五つって、ショットガンかよ!!
とにかくこの部屋は危険だ!緊急退避ーーーーーーーーーーーー!!
とてててててててて
バタン
ふ~~~~~~、ここまで来れば安心だ。いや、知らんけど。
・・・なんなんだよもう!
家の中ってのは普通一番安全な場所だろ!!
普通に暮らしてるだけなのに狙撃されるとかさあ、ここは抗争中のマフィアのアジトなの!?馬鹿なの?死ぬの?
しかしアレは一体何だったんだ・・・。
異世界ってのは、普通に暮らしてるだけで撃たれて死んだりするのか!?
いや、俺が来た世界は超難易度とかではなかったハズだ。
[レミセラート] ◇よくある剣と魔法の世界。難易度(中)
そうだよ!気を抜いた瞬間撃たれるような世界が、難易度(中)だとは思えん。
たぶんこの家がおかしいんだ。
でも行く当てなんかないし、この世界の人とは言葉が通じないから誰かと交渉することすら出来やしない。
はあ~、前途多難すぎて泣けてくるわ・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます