第2話 星粉学園

「じゃあ行って来まーす」

と真司は朝7時に家を出て、学園に向かった。

真司が通う学園は中高一貫の私立学校である。

星粉学園は勉学、部活全てが全国トップレベルの実力を持っている。

中高一貫のため中等部の生徒たちはそのまま高等部へ移る人がほとんどである。

逆に高校受験で星粉学園に入学するのは勉学、部活が優れている一部の生徒だけである。

真司は中等部からそのまま高等部へ移った。

星粉学園では、学園上位10名までの生徒の学費免除制がある。

真司はその10名に含まれているので学費が免除されている。だから父子家庭だった真司でも学園に通うことができるのだ。

新しく家族になった義姉妹達はお金を持っているので上位10名に含まれていなくても学園に通うことができる。

上位10名を決める基準は二つ、一つ目は定期テストの点数そしてもう一つは、どれだけ学園に貢献したかによって選ばれる。

上位10名と言ったが星粉学園では上位という曖昧なものではなく、しっかりと序列制がある。

序列の一位から四位までが生徒会メンバーで、残りの6名は生徒会メンバーほどではないが優秀な生徒

という扱いになっている。

ちなみに真司は序列10位で見ての通り上位10名中最下位である。


以上が星粉学園の説明と真司について でした。


「あぁ~寝みぃ~」

とだらけた声を出しながら正門を通る真司

「おはよう真司君時間ギリギリだな。いつも言っているだろ。10分前には来いと」

正門の横から声を掛けてきたのは、星粉学園序列2位、そして生徒会副会長(学園3年生)の倉本学(くらもと まなぶ)だった。

「すみません」

真司は軽く頭を下げるとそのまま教室棟の方に進んだ。後ろから呆れた感じのため息が聞こえたが、まぁ聞こえなかったことにしよう。

そして真司は教室棟の玄関に到着し靴を履き替えた。

そして階段を上がっていると目の前に星粉学園序列1位、生徒会長(学園2年生)の天咲愛(あまさき あい)と出くわした。

「お、おはよう真司君」

しどろもどろに挨拶をする愛に対して真司は

「おはようございます生徒会長。今日も一日頑張って下さい」 

とだけ言い、愛の横を通り過ぎて行った。

真司は女子に触られたり、睨みつけられたりすると気絶したりするが普通に話すことができる。

しかし、天咲愛に関しては例外である。真司は分け合って天咲愛のことを恨んでいるので、触られたり、睨みつけられたりしてもなんともないのだ。


「朝から生徒会役員に会うなんてついてないな」

真司は一人教室で呟いていた。


星粉学園の上位10名は朝早くから学園に登校し、学園の掃除や教員の手伝いをしなければならないのだ。

少しでも学園に貢献するために生徒会が勝手に決めた規則である。


しかし真司は、掃除や教員の手伝いをせずにいつも行くところがある。それは学園本棟の屋上である。


「先生、来ましたよ」

と真司が屋上に行くと一人の白衣を来た女教師がいた。

「あぁ遅かったな」

彼女の名前は、堂本彩子(どうもと あやこ)化学教師と保健室の管理をしている教師だ。

そして俺の女子事情と人格のことを知っている教師でもある。

「まぁ朝弱いほうですからね」

「まぁいいや来てくれたから。君が来なかったら先生暇すぎて倒れるからね」

「それが教師の言うことか」

実は、真司と堂本先生は同じサボり仲間でもあったのだ。

「じゃあ今日は何します?」

「そうだな~そこの物置部屋にあったオセロでもするか」

そう言うと堂本先生は屋上にある小さな物置部屋からオセロを出した。

「じゃあ先行は私から行くな」

「はいはい」

:

:

「はいここに置いて4枚ひっくり返して俺の勝ち」

「クソ〜もう一回もう一回」

「いいですよ。次も勝つので」

「何?この生意気な生徒は?」

「貴方と同じサボり魔ですけど」

「あぁ〜そういえばそうだった。また私からね」

:

「そういえば真司君、そろそろ定期テストだが大丈夫か?」

「まぁ大丈夫でしょう」

「今回のテストも勉強しないのかい」

「えぇしませんよ。」

そう真司は中等部の頃からテスト勉強をしたことが無いのだ。

「俺の目的は学園側からの退学ですからね」

「まだそんなことを言っているのかい?」

「えぇ何度でも言いますよ。今の僕では自主退学できないのでね」

そうこの星粉学園の隠された秘密の一つ、上位10名は自主退学の権利を剥奪、学園側から退学通知がこない限り学園を辞めることができないのだ。

「テストをサボろうとしても必ず誰か知らない人が来て強制参加、テストを白紙で出しても何度でもテスト用紙を渡してくる。本当に謎ですよねこの学園は」

「真司君、それはおそらく学園長が君の実力を知っているからだと思う。君ならこの学園に貢献してくれる、必ず役に立ってくれる。という希望?みたいなものを学園長は持っているからね」

「だから俺はこうして先生と一緒にサボタージュして、貢献もしないし役にも立たない生徒をアピールしているわけですよ。はいここに置いてまた俺の勝ち」

「なぬ〜っとそろそろ時間だね。後少しでチャイムが鳴る。君も教室に戻りな、私も職員室に戻るとしようかね。私はオセロを片付けてから行くから、先に帰りな」 

「はい先生、また授業で」

「はいはい」

そして真司は堂本先生と別れ、教室に戻った。

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二重人格者の兄と義姉妹 ブドー @Iaoku

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