続 そらいけ!パンパンマン

パンパンマンの必殺技は、相手のほっぺを、ぱんぱんビンタする事だ。「必殺技」と言っても、なぜ敵のばいきんくんが、「必ず死ぬ」事はないのか、という事は謎に包まれている。ほっぺがヒリヒリして、悲しい気持ちになるだけの技なのだ。


パンパンマンの友達に、カレーまんパンマンがいる。彼は、じゃむおっさんとバタ公から、目の敵にされている。特に冬は、「商売上がったりだ!」と怒られ、あの中の茶色いものは、生物の排泄物なのではと、あらぬ噂を立てられたりしている。


ある日、お腹をすかせた子供が道端で泣いていた。心優しいパンパンマンは、頭のパンをちぎってあげる事にした。


「ぅぎぁぁ〜〜っ! ぁ。ぁ。 ぁ。 えい! ぐぁ〜〜!!!」


やっとの思いで、ひとかけらのパンを、もぎ終えた時には、子供の姿は無かった。


その時、彼の頭の中に声が響いてきた。それは、ぱいきんくんの納屋から聞こえてくるようだ。ドアを開けると、無数の腐りかけのパンパンマンの頭が、積み上げられていた。


そこで、じゃむおっさんとバタ公の陰謀を聞かされたのだった。


彼らは、原作者と密約を交わしており、自分たちの安全と引き換えに、パンパンマンへ、頭の交換時に起こる残酷な真実を語る事は、固く口止めされている、というのだ。


彼らは順番に、節約家のぱいきんくんに、生きながらに食べられるのだが、納屋に回収に来たときの、愛人のドキンタマちゃんとの会話の断片を繋ぎ合わせて、頭から頭へと語り継がれた話という事だ。


「どうして俺だけ、頭をすげ替えられるんだ?カレーまんパンマンは、ずっと同じ頭で平気なのに。とりあえず、あの二人に復習しないと気がすまない。」




彼はボイコットをして、原作者に設定を変えさせる事に成功した。



彼は、ぱいきんくんの納屋から救い出した、無数の頭を再利用して戦う、リサイクルパンパンマンとして生まれ変わったのだ。もう、じゃむおっさんとバタ公の出番は無くなった。



彼らは今、舞台裏のスタッフとして、ばいきんくんの納屋の中で、パンパンマンの頭のそうじの内職で生計を立て、ほそぼそと暮らしているという。毎日、そうじの際、頭から呪いの言葉を浴びせかけられているのは言うまでもない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

シニカル ショート ストーリーズ @uecyan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ