多次元の旅

俺は、二次元の住民だ。


三次元に住んでいるお前たちにしか、俺たちの全体像は見えない。


俺達の目線からは、線が見えているだけだ。長いか短いか、何本あるかだけの違いだ。


俺たちにだって一次元の世界なら分かる。点でしかない。可哀想な奴らだ。身動きが出来ないのだから。


一度俺は、瞑想している時に、三次元を体験したことがある。俺たちの世界は、平面から解放され、奥行を見る事が出来、様々な形を作り出している事が分かった。


今まで、想像もしていなかった世界で、立ち眩みがしたものだ。しかし、三次元のしがらみから解放されて、四次元にいくと、いったい三次元は、どの様に見えるのだろう。


縦、横、高さの次の軸である、時間の壁が取り払われるのが四次元。時間軸が多数になり、パラレルワールドが出現するのが五次元。


とりあえず、四次元から挑戦だ。おおっ!漫画のコマみたいに、過去と未来を自由に見る事が出来て、なかなか面白いものだ。巻き戻し、早送りが自由自在だ。


次は、五次元だ。なんと、シリーズ物で、無数の違うバージョンのDVDが、見渡す限り並んでいる。あらゆる瞬間の、あらゆる選択肢が星の数あり、目がくらむ。


三次元の君達が一番知りたいであろう、四次元からの三次元の眺めだが。分かり易く言うと、君が生まれてから今までと、これからの姿が残像のように続いているのだ。


では、運命は決まっているのかと聞かれそうだが、ろうそくの炎のように、姿がゆらゆらと変化するようだ。


時間は、元々存在していなかったようだ。第一、君が見ているものは、光の速度分、既に過去という事になるだろう。過去も現在も未来も同じ塊と考えてもらうしかない。


おっと!これ以上、油を売ってると、次元警察に見つかって、二次元の俺たちは古本屋に売られてしまうので、これで失礼!

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