難病との闘い

シャンプーをしていると、後ろに気配を感じる事はないですか?


これは、世界中で多数の症例が報告されている「洗髪時、コワコワ症候群」と呼ばれる病気です。年間約五千人が、石鹸で足を滑らすなどして、命を落とすと言われています。



どうか安心してください。間違いなくそれらは克服できます。




私は団地の四階で育ちました。小学二年生の時、学校帰り道の団地の三階のドアに、シールを発見しました。


菊の花のイラストと共に言葉が書いています。

「毎日、新聞配達ご苦労さまです。」


突然、嫌な予感と共に、私の頭の中で妄想が膨らみました。


なんと、菊の花の中から、笑い声と共にガイコツが飛び出してきたのです。

甲高い声で、笑いながら、追いかけてきます。全力で四階の自分の家に逃げ帰りました。


この日を境に、一人で階段を上がれなくなり、誰か人が来るまで延々と待つことになりました。


中学生になるまで、一人で留守番は出来ませんでした。本で見た、江戸川乱歩の青銅の魔人が風呂場に立っているのです。あくまでも私の妄想のなかで。



成人してからは、反動で異常なほどのホラー好きになり、世界の怖い映画は、ほぼ見つくしました。但し、一人の時は「洗髪時コワコワ症候群」を発症していました。



そして、今現在、私は「洗髪時コワコワ症候群」さえも克服してしまったのです。嘘ではありません。これは、世界で類を見ない程、珍しい事なのです。



世界の人が、渇望しても治癒できないこの病気を、いかに私は克服できたのか?



この文章を読んでくれている方だけに、タダでお教えしましょう。それは、より大きな恐怖のおかげなのです。



私は死ぬのが死ぬほど怖いのです!



もし、シャンプーしている私の後ろに、妖怪なり幽霊なり居るとすれば、あの世の存在が証明されるのです。




それと同時に死後の世界が約束され、死の恐怖から解き放たれるのです。ハレルヤ!



それ以来「洗髪時コワコワ症候群」が私を悩ませる事は無くなったが、死の恐怖から解き放たれることも、今のところ無い。。。

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