木村は根っからのクレーマーだ。

無職で貯金もない。住居も家賃を払わずに住んでいる。大きな声では言えないが、日本は借主の権利が強い上、負債者も開き直れば強い立場にある。当然、生活保護は堂々と受給している。

いつものようにスーパーでクレームのネタを探していると、綺麗な女性が棚へ品出しをしているのが目に入った。その瞬間、木村の体に電流が走った。一目惚れである。木村の猛アタックが始まった。

女性の名は、佐藤美由紀。子供は社会人となり独立している。夫には五年前先立たれている。木村には願ったり叶ったりの条件である。早速、食事の約束を取り付けた。有名な高級レストランである。

一週間後、お金が底をつき、消費者金融に走った。半年も経たないうちに、借金は三百万円となった。ブラックリストに載り追加で借金する事が出来ない。仕方なく、空き巣に入った時、通報され警察に捕まった。

佐藤美由紀は木村に散々お金を貢がせて、刑務所に閉じ込めることができた。彼女は自分の事を、刑事のようなものだと思っている。木村のような男を常に4〜5人キープしていて、世の中から、腐った人間を排除してお金儲けにもなる、一石二鳥だ。

実は、刑務所に送られた木村は、あの世から派遣された刑事だった。人を人とも思わず、地獄に陥れる人間がいるという訴えがあり、おとり捜査をしていたのだ。佐藤美由紀は地獄へ永久に強制送還される事となった。

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