なぜ、いつか死ぬのに平気でいられるの?

どうして人間はいつか死ななければならないのだろうか?


俊樹は毎日この疑問に取り憑かれていて、ひと時も逃れられたことがない。


俊樹のこの悩みは、四歳の時に始まった。今でも母親に真実を知らされて大泣きしたことを覚えている。それ以来、昼間は気が紛れてまだマシだが、就寝時は宇宙の真っ暗な世界の果てしない時間と広さを、自分の短い人生に対比させて、あまりのはかなさに恐怖し眠れないのだった。


世界の人々は、何故この事実に平気でいられるのか俊樹には全く理解できない。本当の「死」を心から理解できないのではないだろうか。大人になり、あらゆる文献に答えを求めたが、俊樹の疑問を解消できるものはなかった。


自分で答えを見つけるしかないと一念発起し旅に出た。野宿しながら全国を周り、自分を見つめようと思ったのだ。そして三年後、遂に彼自身が納得できる答えが見つかった。


もし彼が死んでも、その後の世界の彼が消えただけで、過去に存在した彼までは消せない。私達の三次元では、時間を戻すことはできないが、ひとつ上の四次元では時間を超えることができる。


俊樹は現在、四次元に行く試みを模索中だ。希望ができた彼の心から死の恐怖は消えた。

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