181、甘片 (第2回Twitter300字小説企画 お題:甘い)

 ひと目はピンク色のまんじゅうだった。

 けれど表面は滑らかで、つつくとぷるりと震える。

 レバーか、あるいは脳の一部かもしれない。

 テーブルの向こうに目を遣ると、彼は楽しそうに言った。

「めったにとれない部位なんだ」

 口に含んだ途端、その強烈な甘さに気を失いかけた。

 快楽と――そして暴力が一体となった甘さだった。舌は蹂躙され、淫らにけいれんし、悶えた。

 夢中で貪った後、一体どの部位なのか問い詰めたが、彼は笑うばかりだった。

 その日から、私はそれに囚われたままでいる。世界各国を訪ね歩き、あの甘さを探し続ける日々。

 けれど――

 先ほど切り刻んだ女の死体を見下ろして、私はため息をついた。

 一体、あれはどの部位だったのだろう?

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