167、うらない (お題:刺殺)

「将来、刺し殺されますね」

 あまりの言葉に愕然とする。

 ただの冷やかしだった。三回目の結婚記念日、二人の将来を占ってもらおうと占い館へ出向いた。そこで妻の未来を尋ねられた占い師が開口一番、言い放ったのだ。

 続けようとする占い師を無視し、二人部屋を出た。

 おびえる妻を、私はひたすら慰めた。

 けれど、日増しに彼女は憔悴していった。家中の刃物を捨て去り、外出もしなくなった。

 ある夜、目覚めると妻は私の胸に深々とナイフを突き立てていた。

「殺される前に殺してやる」

 その瞳は正気を失っていた。

 ――将来、刺し殺されますね。

 あれは「妻が私を刺し殺す」という意味だったのか。

 彼女の行く末を心配したところで、私の意識は途絶えた。

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