128、湖の女神様 (お題:金髪)

 裏山の散策から戻った妹を見て、言葉を失った。

 全身ずぶ濡れ。いや、それはまだいい。大切な黒髪が金色になっていたのだ。

「どうしたの?」

「まずお風呂に入らせて」

 やっとひと息ついた妹が話し始める。

「足を滑らせて湖に落ちちゃって」

 すると、女神様が現れた。そして妹を引き上げた後、言った。

 ――今落ちた人は、金髪でしたか?

 違います。

 ――銀髪?

 違います。

 ――黒髪。

 はい。

「で、正直者だからって金髪にされた」

「何でだよ」

 思わず突っ込んでいた。立派な黒髪を金色にされて喜ぶとでも?

 と、ふと思いついた。

「もしかして、女神様の髪の色って」

「うん、金色」

 私の髪と同じ色になって嬉しいだろう?――傲慢な神の声が聞こえた気がした。

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