127、愛しのスライム (お題:スライム)

 スライムの飼育が流行した。

 大きさも色も、種類は豊富。ぷるっとした触り心地も好評を博している。

 何より世話が楽だ。食事はゴミや雑草だけでいいし、排泄物もない。

 ただし、肉を与えてはいけない。肉の味を覚えた個体はいずれ人間を襲うからだ。

 だが愛着からだろう、肉を与えて自分が食われてしまう飼い主が後を絶たない。可愛さ余って肉、と揶揄されるほどだ。

 スライム愛好家の友人が姿を消した時も、私はそれを心配した。だから、数日後に彼が訪ねてきた時は心底安堵した。

「ずっと病院に行ってたんだ」

 やはり襲われたのか?――そう尋ねる私に、彼は涙を浮かべて首を振った。

「ミーちゃん――あの子は死んだよ。鶏肉アレルギーだったらしい」

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