126、日傘と包帯 (お題:日傘)
「どうしたの、その手」
彼女が言った。僕の左手にぐるぐると巻かれた包帯のことだ。なるべく平静を装って答える。
「何でもないよ」
この左手の秘密を知られるわけにはいかない。僕は話題を変えた。
「日傘って、使ってるの日本だけみたいだよ」
彼女は日傘を差している。空にはぎらぎらの太陽。使いたくなるのも分からないではないけれど。
「海外では、みんな日焼け止めクリームらしいよ」
「ふうん」
意に介することもない返事に、思わず聞いた。
「なんでわざわざ日傘?」
「日傘差すと強キャラっぽいでしょ」
ああ、いつもの中二病か。鼻白んだ空気が流れる。と、何かに気づいたように彼女がにやりと笑った。
「で、その包帯は何のためにつけてるの?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます