125、お菓子のくに (お題:お菓子のもと)

 お菓子の国は、小さな国だ。

 クッキー、ビスケット、シフォンケーキ――国土の割には大勢のお菓子が、身を寄せ合って暮らしている。

 気候は寒冷。温度や湿度はお菓子の大敵だからだ。

 国民はライ麦を栽培し、鶏や羊を飼っている。とれる卵やミルクは、新しい国民をつくるための材料だ。

 丘の上の工場。そこで新しい命は産声を上げる。大量に生産される時は、焼きたてのいい匂いがふもとまで漂ってくる。

「最近は砂糖やバニラの物価が上がって、輸入が大変なんだ」と経済相。

「それでも生産しないと。みないずれ腐ってしまうし、何より鳥がついばみに来る。防衛には人数が必要だ」と防衛相。

 どこの国も大変だな――そう思った直後、僕は夢から覚めた。

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