119、悪あがき (お題:父親)

「これで終わりだ」

 宇宙全体を巻き込んだ終末戦争。長かった戦いにも、ようやく終焉が訪れようとしていた。

 ヌーク・グラウンドフライヤーはライトセイバーを突き付けた。その切先には、敵の首魁。もはや、彼ら地球人類側の勝利は目前だった。

「ヌークよ」

 首魁が口を開いた。

「私は、お前の父だ」

 切先が揺らぐ。ヌークは父の顔を知らない。育ての親、一緒に戦ってきた仲間、そして、師。それが彼のすべてだった。動揺を見透かしたように、言葉が続けられる。

「さあ、地球を離れて私とともに来るのだ」

 気を落ち着けるよう、ヌークは深呼吸をした。そして差し伸べられた触手をなで斬りにすると、タコ型宇宙人の脳天へとライトセイバーを叩き込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る