118、オリジナル (お題:コピー)

「私です」

 男が言った。

「いえ、私です」

 もう一人も負けじと言う。二人とも瓜二つの顔をしている。

 宇宙際裁判所の法廷。二人はどちらも、自分がオリジナルであると主張してはばからなかった。身体的特徴はまったく同一。彼らを知る者にも見分けはつかないだろう。

 けれど。

 裁判官に迷いはなかった。法廷の象徴であるいかつい仮面ごしに、厳粛な声が響き渡る。

「判決を言い渡します」

 二人は精神病院への送致を宣告された。何が起きたのか理解できずに引きずられてゆく彼らを見送り、裁判官は仮面を取った。下には、二人と同じ顔があった。

「あなたがたも私も、みんなみんなコピーです。しっかりと治してきてください、オリジナルなどという妄想は」

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