112、鉄の味 (お題:鉄)
「鉄の味って、どんなだろ?」
彼女の唐突な発言には慣れたつもりの僕だったが、さすがに聞き返していた。
「なんで?」
どうやらまんがの影響らしい。「血は鉄の味」という台詞に引っかかったという。
「鉄ってどんな味だろうって」
「釘でも舐めてみれば?」
「ううん、もっといい手があるし」
そうして現在、お好み焼き屋にいる。
「こんな流れで来ること、ある?」
「あ、私ブタイカミックスで」
じゅうじゅうといい匂いが立ち込める。待ちきれず、二人頬張った。
「どう? 鉄板の――鉄の味、する?」
「ソースの味」
「だよね」
思わず二人笑った。いつもけっきょく、最後には笑っている。だからなのだろう、振り回されながらも彼女に付き合っているのは。
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