102、スマホとスカート (お題:スカート)

「ミミクリー思考?」

 聞き慣れない単語に、私は聞き返した。

「そう。まったく違う分野を繋げて、そこから新しいアイデアを得る発想法さ」

 彼が言う。

「例えば、スマホからヒントを得て斬新なスカートを開発した会社があった」

 指紋認証に着目し、痴漢に遭った時にブザーが鳴り、さらに証拠として指紋がくっきり残る繊維で加工したのだという。

「いいじゃん」

 私もひとつほしいところだ。彼が肩をすくめる。

「発売中止になったんだ。スマホの余計なスペックまで真似てしまったせいでね」

「五万くらいするとか?」

 スマホの買い替えは懐に悪い。そう口を尖らせる私に、彼は笑って否定した。

「軽量化さ。履いた本人が動いただけでめくれてしまうほどの」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る