96、無限カバン (お題:鞄)
目を覚ますと、暗闇が広がっていた。
身体を起こそうとしたが、手足が何かに遮られ思うように動けない。どうやら鞄のようなものの中にいるらしい。
辺りを探ると、ファスナーに触れた。なぜか内側から開くようになっている。意を決して、手を掛けた。
その先は、またしても闇だった。おそらく、わずかばかり大きくなった鞄の中。
そして次も、その次も。何度開けても、鞄の外は少しだけ大きな鞄に繋がっていた。やがて手足が伸ばせるほどの広さになったが、決着が訪れる気配は一向にない。十何回目かの試行の後、私は大の字に倒れ込んだ。
カチャリ――背の下で金属音が響いた。
思わず手を伸ばした私は凍り付いた。私の背中にファスナーが走っていた。
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