94、シュレッダー (お題:シュレッダー)
記憶はない。正確には、意味のない記憶の断片と、直前の光景だけが頭に残っていた。
頭上を振り仰ぐ。真っ黒に塗り潰された空。そこから私は落ちてきた。
周囲を見回す。僅かな光の中、私と同じ境遇であろう者が無数に蠢いていた。
絡まり合い、圧し合い、凭れ合う。幾重にも折り重なった彼らは、大地そのものだった。
これは罰、なのだろうか。けれど、切り刻まれた記憶からは、自分が裁かれる謂を引き出すことはできなかった。
私は歩き出した。理由はない。ただ、足が勝手に動いた。
無限のような時間の後、突如大地が揺れ、空が割れた。現れたのは、後光を纏った神の無表情な顔だった。
すべてが終わるのだ――本能で理解した私は、その場に頽れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます