93、長い別れ (お題:Long time no see)
“Long time no see.”
彼女がそっと私に耳打ちした。
「ひさしぶり」を意味するあいさつ。昨日も二人で過ごしたのに。離れている時間が寂しかった、ということだろう。私は彼女を抱き寄せた。
翌日、彼女は姿を消した。どこへ行ったのか、家族ですら知る者はいなかった。
ようやく私は理解した。Long time no see――長い間、会えなくなる。彼女はそう伝えたのだ。おそらく、のっぴきならない事情があるのだろう。
だとしても。
私はすべてを懸けて彼女の行方を追った。事情など知らない。ただ彼女に会いたかった。
三年後、海の見える街で私たちは再開した。目を見開く彼女へ、私は笑い掛けた。
“Long time no see.”
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます