92、プリンの行方 (お題:プリン)

 私はプリンが好きだ。冷蔵庫にも欠かさず常備してある。

 ただ、そのストックが知らないうちに減っていることがある。そう、誰かが私のプリンを盗み食いしているのだ。

 私は密かに隠しカメラを設置した。成果はすぐに出た。夜中に冷蔵庫を漁る姉の姿が捉えられたのだ。

 映像を突き付けると、姉は頭を掻いて苦笑いした。

「誤解だよ」

 彼女によると、プリンを盗られた私を可哀想に思い、こっそり補充していたのだという。

「それならそうと言ってくれれば」

「……そんな、照れるでしょ」

 はにかんだ笑顔を浮かべる姉。そんな彼女に、思わず胸が詰まりそうに――ならなかった。

 ぱあん。思いっ切りその頭を引っ叩く。

「何でプリン盗られたこと知ってんだよ」

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