81、最後の瞬間 (お題:暴走)

 最後の一服を終え、足下へ放った。

 冷たい鉄柵に手を掛ける。ひと息整えると、私は屋上から身を投げ出した。

 全身に風を受けながら、これまでの人生が脳裏を流れてゆく。

 子どもの頃から要領が悪かった。

 学校では何やかやと失敗し、いつもひんしゅくを買っていた。

 会社に入ってからは利用されるだけされ、気づけば横領の共犯として警察に追われる立場だ。

 天を仰ぐ。雲が低く垂れこめた夜空には星ひとつ見えなかった。

 煙草に火を点ける。紫煙がゆっくりと全身を満たしてゆく。

「……もう一度、やり直せたらなあ」

 やがて最後の一服を終え、足下へと放った。

 冷たい鉄柵に手を掛ける。ひと息整えると、私は屋上から身を投げ出した。

 全身に風を受けながら

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