75、ZOO (5/5:こどもの日)

「わあ」

 僕は思わず嘆息した。

 国際動物園――広大な園内には、地球上のあらゆる珍しい動物がひしめき合っていた。朝から長蛇の列に並んだ甲斐があったというものだ。

「けど、ちょっと残酷」

 目の前の檻では、真っ青な毛並みのリスが怯えたように身をすくめている。

「やさしいね」

 隣で友人が言った。

「だけど、これは必要なことなんだよ。僕たち人間が無茶したせいで絶滅の危機に陥った生き物たちを保護するために」

「それはまあ、そうだけど」

 前方を見つめる。一際、ひとだかりができている一画があった。

 人波に流され、その檻の前へ立つ。衆目に晒され縮こまっている影。鉄柵に解説プレートが誇らしげに掛かっていた。

『こども:A級絶滅危惧種』 

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