66、順番待ち (4/26:風呂の日)
その日入ったのは、比較的大きめの銭湯だった。
浴室はなかなかに広く、客の入りもがらがら。ほぼ貸し切りのような状態だった。
と、洗い場が目に留まった。一人の男が頭を洗っている。
そして、その後ろにもう一人男が立っていた。順番を待つように――ほかのカランはすべて空いているのに。
妙に思ったが、二人は友人か何かだろうと思い直した。それでも、なるべくその二人から離れて洗い場に座った。
頭を洗い始める。そろそろ流そうかという頃、後ろに何かの気配がした。
そっと薄目を開け、脇の下から背後を窺う。
つるりとした足が立っていた。
大急ぎで頭を洗い流すと、私は振り向くこともせずに浴室を出た。
それ以来、その銭湯には行っていない。
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