59、五人目 (4/10:ヨットの日)
四人でヨットに乗っていると、いつの間にか人数が五人になっている――
有名なヨットの怪談だ。原型はあの都市伝説だろう。真っ暗な部屋の四隅に陣取って――というやつだ。
そして、私は実際にそれを体験した。
恐ろしかったのは、人数が増えていたことではない。いや、もちろんそれも十分恐怖だったのだが、問題は五人目が誰なのか分からないことだった。
搭乗員が四人だったのは確実だ。だが、それが誰なのか分からない。五人ともヨット仲間であり、加えて全員の記憶があいまいになっていたからだ。
結局、私たちは各々の家庭に戻って行った。もう一人の自分に鉢合わせした者はいなかった。
五人目は誰なのか――私は未だに不安を抱えたままでいる。
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