52、やさしい殺人者 (3/25:ご自愛の日)
インターホンを鳴らす時、緊張から指が震えた。
この家の一人息子だった野球少年の
もちろん事故だ。が、判決は実刑。刑務所では不満をこぼす毎日だった。
そんなある日、優弥くんの父親から手紙が届いた。
目を疑った。
息子の死については何も触れず、ただ励ましの言葉が連ねられていた。
文末の『ご自愛ください』を見て、俺は呻いた。初めて罪の意識が湧き起こった。
出所した俺は、その足で差出人住所へと向かった。とにかく謝罪を――心からそう思えた。
ややあって出てきたのは優弥くんの父親だった。驚いた顔をした後、彼は微笑んだ。
「よかった。ちゃんと来た」
そして、手にした金属バットを振りかぶった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます