45、最後のコラム (3/11:コラムの日)
編集部をクビになった。
部数より記事の質が大切だと主張したら、明日のコラムが最後の仕事だ、と。
ならば。
私は縄の輪っかに首をかけた。
自殺して、その経緯をコラムに書いてやる。
すでに原稿は送ってある。載せれば部数は伸びるが、大炎上で雑誌の廃刊は必至。編集長の苦い顔が思い浮かぶ。ざまあみろ。
と、ドアが勢いよく開いた。そこにいたのは、密かに想いを寄せていた同僚だった。
「間に合った」
きっと、原稿を見て駆け付けてくれたのだ。
「……ありがとう」
「いいから早く済ませて」
「は?」
「社員が止めに駆け付けたが、間に合わずに目の前で自殺された」
呆然とする私に、彼女は肩をすくめる。
「その方が盛り上がるだろうって、編集長が」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます