46、墓場のサンドイッチ (3/13:サンドイッチの日)

 裏の墓地が騒がしい。

 見に行くと、カラスがサンドイッチを取り合っていた。墓参客が供物を持ち帰らなかったのだろう。

 カラスを追い払ったところで、私は凍り付いた。

 サンドイッチの表面に、手形がついている。大人でも子どもでもない、赤ん坊の。

 パンくずを辿って、供えられた墓はすぐに見つかった。最近納骨されたばかりの墓だ。故人は五十代と若いが、赤ん坊ではない。

 電話すると故人の息子が出た。迷ったが、私は手形のことを含めて打ち明けた。

「すいません、あれは父への報告だったんです」

 気まずそうな声が返ってきた。

「初孫が生まれたんですよ。熱を出して墓参りに連れていけなかったんで、父の好きだったサンドイッチにせめて手形をと」

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