40、ケチャップとカラス (3/1:マヨネーズの日)

 味にうるさい友人がいた。

 俺が趣味でつくる料理にもやたらと文句をつけてくるので、仕返しにその味覚を試してやることにした。

 機会をつくり、あらためて料理を振る舞う。作り手を目の前にして、彼は相変わらず文句を並べ立ててきた。

「で、このナゲットにつけるマヨネーズだけど……」

「それ、マヨネーズじゃないよ。ケチャップ」

 俺の言葉に、思わず手元を見る彼。

「白いケチャップ。この前見つけたんだ」

 ナゲットをマヨネーズ色のソースにつけると、彼は頬張った。

「すごい」

 その目が見開かれる。

「本当にケチャップだ。白いケチャップなんてあるんだな」

「まあ、カラスと同じだよ」

 俺はにっと笑った。

「白いカラスなんているわけないだろう?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る