37、不眠の効用 (毎月23日:不眠の日)
「もう何日も一睡もしてないんです」
私の訴えに、医師は言った
「あなたのような人を探していたんですよ」
私は一人の男性を紹介された。彼の家は大邸宅で、彼自身も見るからに大富豪だった。
「今晩、世界に二つとない宝石の見張りをしてほしい」
起きねばと思うと眠くなる。自然の摂理だ。熟睡だった。これ以上ないほどの。目覚めてすぐ私は真っ青になったが、そこへ現れたのはここを紹介した医師だった。
「眠れるようになったみたいですね」
すべて治療のための芝居だったという。安堵とともに怒りが湧いたが、確かに不眠は改善したのだ。不承不承ながら礼を言うと、医師はにこやかに頷いた。
「セット、役者代含めて治療費五十万六千円になります」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます