29、悪魔のお詫び (1/25:お詫びの日)

「息子さんの死は手違いでした」

 葬式に現れた悪魔は言った。

「今なら蘇生できますが、お勧めはできませんね。その場合、あなたが彼を殺すことになるので」

 戯言だ――私は生き返らせることを選び、息子は帰ってきた。

 だが、長じて息子はDVを振るうようになった。妻が大けがを負わされ、私は衝動的に彼の首を絞めた。

 と、一瞬にして景色が変わった。あの葬式の夜だった。

「お詫びに、未来を少々体験していただきました」

 にやり笑う悪魔。

「さて、どうします?」

 私は力なく首を振った。

「うまくやったな」

 地獄に帰った悪魔は、仲間の悪魔に声を掛けられ肩をすくめた。

「あんなでたらめな幻覚を見せただけで諦めるんだ。愛情がなかったんだろうよ」

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