27、好敵手が交わる日 (1/21:ライバルが手を結ぶ日)
小さい頃から俺たちはライバルだった。
家が近所だったというのもある。が、それ以上にお互い運動より勉強が得意だったというのが大きい。
中学、高校と二人でトップを争った。そして、それは大学に進学してからも変わらなかった。同じ数学専攻だったのだ。
やがて、俺たちはそれぞれの研究分野で広く名を知られるまでになった。あいつにだけは負けるまい――お互いその一心なのだと思っていた。
だからこそ、である。まさかこういう形で手を取り合うことになるとは想像もしていなかった。
ナイフを持つあいつの手に、俺の手を重ねる。見ると、うれしそうに頷きを返してきた。
目の前にはウェディングケーキ。
それが俺と彼女との、初の共同作業だった。
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