26、邪気清浄機 (1/19:空気清浄機の日)

「最高の除霊グッズ?」

「そう」

 彼は頷くと、部屋の隅へ目を遣った。その先には、小さな空気清浄機。

「俺の後輩のお墨付きさ」

 いわゆる事故物件を掴まされ、その後輩は霊障に悩まされていたという。

 金縛り、電化製品の故障、足音――考えうる限りのトラブルが彼を襲った。

 もちろん、抵抗は試みた。ファブリーズ、盛り塩、お札、果ては除霊師まで。けれど、どれもまるで効果がなかった。

 だが――

 たまたま空気清浄機を譲り受けて使い始めた途端、霊障はぴたりとやんだ。

「霊も浄化されたってことなんだろうな」

 私はため息をついた。

「おもしろい冗談だな」

「いや、本当の話さ」

 彼はすっと目を細めた。

「その証拠にもう消えかけじゃないか、あんた」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る