25、おいしい生活 (1/17:おむすびの日)

「さあ、あなた、召し上がれ」

 スープ、おむすび、ハンバーグ。チェックのクロスの上には、腕によりをかけた料理が並んでいる。

 特におむすびにはこだわった。水の量から固さに至るまで、最高の仕上がりと言っていいだろう。どんなことにも全力を尽くしなさい――ママの言葉だ。

 けれど、彼はじっと料理を見つめたまま動かない。

「遠慮しなくていいのよ」

 その言葉に、ようやく手が出る。私は喜びに震えた。やっぱり料理は食べてもらってこそだ。

 料理が平らげられるのと、ママの呼ぶ声が聞こえたのは同時だった。

「おそまつさまでした」

 彼ににっこり微笑みかける。

「また明日ね」

 同じ幼稚園の少年にどろんこの手を振って、私は公園の入口へと駆けた。

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