23、二つのつづら (1/13:遺言の意味を考える日)
『遺産は屋敷のどこか。機知を以て探し当てた者の勝ち。手に何も欲さない者は地下礼拝堂に来てほしい。祈りを私のために捧げてゆけ。ルールは厳正に守るように。』
集められた親類がどよめく。大きなつづらと小さなつづら――大晦日に公開された祖父の遺言は、まるで舌切り雀だった。
必至の形相で壁紙を剥がす親類たちを尻目に、僕は地下礼拝堂へ降りた。
仄明かりの中、祖父が待っていた。
「よく分かったな」
「じいちゃん、いたずら好きだし」
まずは遺言状のぎこちなさすぎる文章に違和感を覚えた。そこで各文の頭を繋げると「いきている」、末尾を並べ替えると「ちかにいけ」。
「それで、これからどうするの?」
祖父がにやりと笑う。
「大掃除さ」
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