20、副作用 (1/7:七草の日)
私の実家では正月七日に必ず七草がゆが出た。
正直、食べたくなかった。大嫌いな味だった。だが少年時代、私は毎年正月に必ず体調を崩していたため、強制的に食べさせられていた。そして――途端に回復した。
「良薬は口に苦し、だね」
彼女の言葉にため息をつく。
「最初は俺もそう思ってたよ」
そのため一人暮らしを始めて以降、風邪のたびに嫌々ながらも作った。が、今度はまるで効果がなかった。
「どころか食べない方が治りが早い始末さ」
「……実家と作り方が違うとか?}
首を振る。
「逆だったんだ」
「逆?」
「体調が崩れたのはストレスのせいだったのさ。大嫌いな七草がゆの日が近づいてきた、ね。その日が終われば回復するのは当たり前だろ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます