20、副作用 (1/7:七草の日)

 私の実家では正月七日に必ず七草がゆが出た。

 正直、食べたくなかった。大嫌いな味だった。だが少年時代、私は毎年正月に必ず体調を崩していたため、強制的に食べさせられていた。そして――途端に回復した。

「良薬は口に苦し、だね」

 彼女の言葉にため息をつく。

「最初は俺もそう思ってたよ」

 そのため一人暮らしを始めて以降、風邪のたびに嫌々ながらも作った。が、今度はまるで効果がなかった。

「どころか食べない方が治りが早い始末さ」

「……実家と作り方が違うとか?}

 首を振る。

「逆だったんだ」

「逆?」

「体調が崩れたのはストレスのせいだったのさ。大嫌いな七草がゆの日が近づいてきた、ね。その日が終われば回復するのは当たり前だろ?」

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