15、練習の成果 (12/26:プロ野球誕生の日)

 練習はすべて、この日のためだった。

 チケットを渡した彼女は、これ以上ないほどに喜んだ。今もスタジアム外野中央の指定席から俺の応援をしているはずだ。

 ここまでの三打席は甘い球がなく、凡退だった。だが、九回の最終打席。ピッチャーが投じたのは、外角高めの速球。俺が狙っていた絶好球だった。

 身体が反応する。練習を積み重ねた末にたどり着いた、完璧なスイング。

 快音すら置いてけぼりにして、ボールは一瞬のうちにスタンドへ、そして彼女の頭部へ。きっと、何が起きたのか理解する暇も彼女にはなかっただろう。

 遠く鈍い音が響き渡り、俺は心の中で喝采を叫んだ。

 邪魔な彼女を排除するための完全犯罪。そう、練習はすべてこのためだった。

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