14、天邪鬼のトリセツ (12/24(金):尿失禁改善の日)

 その患者の主訴は夜間の尿失禁だった。

 内服は嫌と言われ、食事、運動、水分制限など予防のための指導を行った。

 が、まるで実行しようとしない。どころか指導と逆のことさえする始末。そして次の診察日に必ず文句を言ってくる。治らなかった、と。病的な天邪鬼。

 困り果て先輩に相談すると、秘策を教えてくれた。

「もうやれることはありません。絶対に治らないでしょう」

 そう宣告した次の診察日、相手は勝ち誇った顔でやって来た。

「先生ってやぶ医者ですね。仕方ないので自分で治しました。ちゃんと治りましたよ」

 治療は終結した。

 後日、先輩に尋ねた。

「でもあの人、自力でどうやって治したんですかね?」

「散々指導してきたんだろ? 予防方法は」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る