13、看板メニュー (12/22:スープの日)

 その店の看板メニューの材料は人間だった。

 骨でだしを取り、肉を煮込んだスープ。よそにはない味だと、それ目当ての客で店は繁盛した。

 もちろん、秘密を知るのは店主だけだ。足がつかぬよう獲物は慎重に選び、犯行を目撃されぬよう細心の注意を払っていた。厨房も一人で切り盛りし、調理後の残骸の処理も完璧だった。

 だがある日、強制立ち入り捜査によってあっさりと事は露見してしまう。

「なんで立ち入り捜査なんて……」

 手錠を掛けられた店主は項垂れ、絞り出すように呟いた。

「証拠なんて何一つ残さなかったはずなのに」

「何言ってんだ?」

 捜査主任が呆れたように言った。

「スープを飲んでみたら人肉の味がしたんだ。証拠もくそもないだろう」

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