11、究極の防犯 (12/18:防犯の日)

 その屋敷には、防犯カメラ、赤外線装置のみならずあらゆるトラップが仕掛けられていた。究極の防犯に辿りついた――家主の言である。

 だが、人の行いには必ず限界がある。ある夜、腕利きの盗人がとうとう金庫部屋への侵入に成功した。

「どういうことだ」

 盗人は途方に暮れた。独居の家主を脅して開けさせた金庫は、見事に空っぽだったのだ。家主がにやりと笑う。

「盗めるものが何もない――これが究極の防犯さ」

 防犯装置にすべてをつぎ込んでしまい、彼は無一文になっていたのだ。

「成程」

 盗人は頷くと、家主に拳銃を向けた。

「残念だけど、それじゃ不完全だ」

 銃声と共に、相手が崩れ落ちる。

「あんたに成りすまして、この屋敷を売ることにするよ」

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