出店準備⑥



私は、気がつくと涙が出ていた。



この世界には、こんなことを言ってくれる人がいたんだ。 

〜プリン〜

目の前の兄弟は別に私を肯定した訳ではないのだろう。

しかし、私からしてみれば、何故か肯定された気がした。


今まで信頼していたのは、リーヴァ様だけだった。


リーヴァ様は、私に対して多額のお金を出してまで買ってくれたのだ。

しかも、私の家族を探してくれるつもりだ。


正直、家族に会うことは諦めていた。

一生会えない存在だと思っていた。


しかし、リーヴァ様のおかげで多少の可能性が生まれたのだ。


家族もおそらく何処かで、奴隷になっているだろう。


もちろん、買った家族によって殺されている可能性もある。


人権は本人にあるではなく、買った人にあるからだ。

でも、探してみるまでは分からない。


私が、考えている間にも、どんどん面接が進んでいく。

リーヴァ様が聞いて2人が答える。

永遠にこの構図で続いていく。

もちろん、当たり前の事だ。

これが常識というのもなのだろう。

しかし、私には常識があまり分からない。

常識を教えてくれる人がいなかったからだ。


例えば、リーヴァ様がカーシャ様の所に行った時に私は、連れてってもらえなかった。

理由は、常識が怪しかったからだ。



これからの、私はリーヴァ様の元でどう変わっていけるのか、自分だって分からない。

しかし、心が踊っているのは確かだった。



そんな事を考えていた。

その時、リーヴァ様がわざわざ後ろにいる、私を見て、微笑んだ。


今面接している、この2人で決定だろう。

多分、いい人見つけたね。みたいな意味だろう。

後半の面接は、あまり聞いてなかったので、あまりよく分からないが良い回答だったのだろう。

リーヴァ様は、かなり私を意識して面接している。


やっぱり、ここまで私の事を意識してくれる人は初めてだった。

やっぱりこの人しか居ないと、再確認した。

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