十五 再尋花
暁天深竹上
朱月没西山
野外行吟詠
花陰細水還
暁天 深竹の上
朱月 西山に没す
野外 行(ゆくゆく)吟詠すれば
花陰に 細水は還(めぐ)る
休日にクルマを走らせ、梅の花を探しに出かけた。遠出をするつもりでいたので、朝早くからの出発である。明るくなり始めた空は深い竹林の上に広がり、山道に人影はない。空気はあくまで澄んでいた。
お目当ての道の駅に着いた。黄色がかった赤い月が、西の空に沈もうとしている。夕陽と同じで、沈み行くときに届く光は、やや赤みがかっているのだ。日没ならぬ月没。夜がようやく終わりを告げた。
土産物屋の脇を通り抜けて少し登れば、たしか梅の木があったはず。また詩にまとめてみたいと構想を練りながら行けば、枝先に点々と白く花を付けているのが目に入ってきた。澄んだ空気に、ほのかに香る心地よさ。
暁天や梢に白き梅の花
昨夜は、雨が降っていたらしい。根元は少しだけぬかるんでいた。花陰に細い水の流れが幾筋が見える。やがて川へ、そして海へと流れゆく水は、再び雨となってここに戻ってくる。今年もまた、花の季節になった。
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