五 寒月
仰見寒山月
天空凜洌風
酒仙冬夜宴
吟望壺中夢
仰ぎ見る 寒山の月
天空に 凜洌たる風
酒仙 冬夜の宴
吟望す 壺中の夢
海を見るのも好きだが、月を愛でるのもいい。中秋の名月を楽しむ習慣があるのは、日本人だけと聞く。ずいぶん寒くなったが、その分だけ澄んだ空気のおかげで、冴え冴えとした月明かりが楽しめる。
空気が澄み渡るには、上空に強い風がなければならない。雲も、細かな塵も、全て吹き払う強い風。冬の強風は「凜洌」という表現がしっくりくる。その厳しく美しい語感が、月明かりの美しさを支えている。
夜のベランダは、底冷えがする。それでも月を愛でたいとなれば、強い酒で体を温めるしかない。こんなときは焼酎をそのまま一気に呷るのがよい。胃の腑に熱い塊が注ぎ込む心持ちがして、思わず一句、口に出た。
寒月や呷るは火酒の草枕
自宅のベランダだが、気分は旅人。月明かりを肴に「火酒」を楽しむ。三杯ほど飲んで部屋に戻ると、酔いが一気に回ってきた。そのまま寝床に飛び込む。当然、翌朝まで熟睡である。
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