四 曙光
冬湊人影絶
黎明寒水新
微光照老松
東海自如春
冬湊に 人影絶え
黎明に 寒水新たなり
微光 老松を照らし
東海 自ら春の如し
以前、近くの漁港に出向いた折、とても寒かった記憶がある。だがあのときの日の出をもう一度見たくて、今度は岸壁にクルマを駐め、車中で待つことにした。当然だが、あたりには誰もいない。
朝陽に照らされる海面の輝きは、いつ見ても新鮮である。いつも見慣れた海ではあるが、遠く世界にもつながっている。他の国に寄せていた波が、今ここに来ているかもしれない。そう考えるのも楽しい。
海沿いの山に、寺が見える。建物のそばには老いた松。新しい朝に新しい風。その新しさを知らせる光に包まれた老松は、生きる力を与えられて若々しくなったようにも見える。「お天道さま」という言葉が浮かんだ。
老松を照らす冬陽のあたたかき
気温は低いが日差しには温もりがある。今朝は車中にこもったままだ。一人でぼんやり眺める海は、幼い頃から見慣れていても、やはり新しい。波の音と朝一番のきらめきが、今日も一日を始めてくれる。
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