第6話

「私は! 赤いきつねと緑のたぬきでここまで大きくなりました。こんなに美味しくてロングセラーになった商品を、雑に扱わないでください。会社が創り上げたあの赤いきつね達を、部長の一存で好き勝手にされたら困ります」

 部長は最後の一口を頬張り、弁当の蓋を閉める。缶コーヒーを軽く振ると、スカッとプルタブのいい音がした。


「川原。お前何を勘違いしてるんだ。今回の件は社長が言い出したことだ。俺が好き勝手にやってる訳じゃないぞ」

「社長が? 社長自ら赤いきつねと緑のたぬきを裏切ろうとしてるなんて」

「裏切る?」

 ナツメは握り拳をつくり、怒りのマグマをギュッと溜め込んだ。

ーーこの怒り、どうしてくれよう。新聞社にリークして問題を大きくしたら、社長はすぐ戻ってくるだろうか。でもそんなことしたらあの子達は、社長の裏切りを知ってしまう。


 

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