第4話

 ガチャリと扉が開く。きつね達は咄嗟にダンボールの陰に隠れた。

「川原さーん。コピー用紙まだ?」

「あ、すみません!」

「課長が探してたわよ。早いとこ準備しないと会議に間に合わないよ」

「申し訳ありません。すぐ行きます!」

 ナツメはコピー用紙を3冊を持って保管室を出る。扉を閉める際にチラリと見えた緑のシッポに視線を落とした。



 コッコッコッコッと鶏が逃げていくように、ナツメは急ぎ足で商品企画室に戻った。

扉の前でヒールの音がピタと止まると、課長の目の玉がジロリとこちらを向いた。

「何やってんだぁ、コピー用紙を取りに行ったくらいで」

「すみません! 急いでコピーします」

 ナツメは資料のコピーに専念した。


「山岸部長。2番にお電話です」

 営業事務の女性が、奥にいる部長に声をかけ電話を繋ぐ。ナツメはきつね達の話を思い出し、コピーをとりながら部長の様子をじっと見つめた。

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