第2話

 ナツメは課長から預かった書類を手に、保管室へと向かう。商品企画部がある階の端の部屋だ。中に入ると仕切りを隔てて左側が補充備品、右側はダンボールが積まれた書庫になっている。ナツメはコツコツとヒールの音をさせながら、A4のコピー用紙を探す。

「あーこれだこれだ。3冊だっけー。よいしょっ」


『アレ、だれだろう』

『あいつもブチョーのなかまかな』


 ん? ナツメは誰もいないはずの保管室で何かの声が聞こえた。


「誰? 誰かいますか?」


 一瞬シーンとなるが、コツコツと足音をさせるとまた話し声がした。ナツメはコピー用紙をそっと置いて、耳を澄ます。

『くるぞ』

『どうする? やっつける?』

 子どもみたいな小さな声が、ナツメに居場所を知らせた。

「えっ?」

『あっ』

『見つかった!』


「え、えぇーーっ? な、なに? 動物?」


 ダンボールの裏側がら何かがひょこりと顔を出す。

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