第37話

218

王様一行はハワイ方面に向けて出港したが、距離は日本とハワイの3分の一程度である。意外と近いのである。船尾に4本のトローリング竿を両サイドに2本づつ出して、カツオやキハダマグロを狙っている。カジキマグロもたまには釣れるが可能性は少ない。


五日の行程でハワイ諸島のかなり東に在る小島に行くことになっている。ここは米国が核実験で使用していた場所で当然に汚染されている。ここの高校生から王様あてに何とか助けてくれと手紙が来たのである。


単調なクルージングであるが、日に2回船を止めてのスイミングタイムがあるが、護衛を含めてほぼ全員が泳いでいる。もちろん犬3匹も喜んで泳ぎ子供達も救命胴衣を着けて遊んでいる。このようにしないとストレスが溜まってしまうのである。


この日はトローリングで珍しく大漁になったが、カツオ4匹にキハダマグロが5匹である。早速船上パーティになったが、他の海産物も通販で新鮮なものが届いているので豪華なものになった。護衛や侍従も交代でご相伴に与った。明日香の通販はこのように超能力でどこにでも届けられるので、関税や検閲無しで配送ができる国以外に、このような領海外はどこにでも届けられるのである。

219

すず[私こういう雰囲気が大好きなんです。セレブになったようであこがれていましたけど、エビやアワビもありますし夢見たいですね。][酒もいろいろと揃えてあるので勝手にやってくれ。]犬達には猪肉の冷凍を与えている。


船員の一人がウクレレを持ってきてハワイアンを演奏しているが、なかなかの腕前で玄人はだしである。船室サービス要員も兼ねているのでいろいろなことをやっている。


長[これと同じ型のクルーザーを販売しましたら3隻が売れました。上々の滑り出しですよ。もちろん王様の使用タイプと銘打ちましたが、このタイプのクラスまでが大量生産並みの価格で販売されていますので売り上げが急激に伸びています。米国にカナダやメキシコでも売り上げがトップになっています。][ほう、ここの社長はやる気が出てきたようだな。]

サスケ[首になる寸前でしたものね。]長[本人はいたく反省して力を入れて取り組んでいます。]

220

[話が変わりますが、いよいよ米国でも法律の戦いが始まります。米国には明日香人弁護士が市民権を得て200人が活動して成績は抜群にいいのですが、知名度がありません。そこで初めての寄港地になる小島は核実験で汚染されているところです。


ここの住民を助けて米国から金を巻き上げてしまう段取りになっています。ここの住民が何度も政府に汚染のことで掛け合いましたが、少しの生活援助金を貰って泣き寝入りをしています。そこで私たちが助けて打ち上げ花火を上げますが、最低15兆円はいただこうという算段です。


住民は汚染が無くなり1兆円をゲットしますけど、この1兆円もこちらの管理としますけどね。米国とはいずれ本格的な戦いになりますけどその前哨戦です。こちらは経費込みで汚染除去費14兆円になります。]長[私は一気に戦いに臨むのでなく、このくらいからスタートするのがいいと思います。それに超能力を使えば負けませんからね。]

221

サスケ[軍資金が豊富なのでそろそろかなと思っていました。このことをEUROなどに伝えたら共感を持ってくれると思います。]すず[米国のアキレス腱ですね。触れてほしくないところですが、真っ向勝負でしたら価値はありますよ。それにとてもおいしそうなお土産付きですしね。]


クルーザーのキングスター号は目的地の小さな島に着いた。岸には女子高校生と母親が待ち構えていた。それに米国の弁護士2人に王様が派遣した調査員3人がいた。


[やあ、こんにちはどうぞ船内にお入りください。手紙をくれた娘さんにお母さんですね。私が国王です。まず、調査をして汚染の状況はどうですか。]調査員[長年続いた核実験で広大な地域が汚染されています。東海村の20倍は汚染されていますので、普通では当然に除染は不可能ですよ。]

222

[私は日本で放射能で汚染された地域の除染をした実績があるので、ここでも可能ですよ心配はいりません。しかしそれだけでは島民の暮らしが成り行きません。少しは手当てが出ているようですが死なない程度のものです。


それで私共の弁護士が米国政府からお金を取るようにして、そのお金で私が除染してあなた達の生活の支援もいたします。


あなた達が支払うお金は一切ありませんがお母さんの名前で米国政府からお金を受け取るようにして、そのお金で弁護士費用や除染代を支払うようになります。その中から私の判断で生活支援をいたします。


ここでのポイントは大きな額面が入ったにも関わらずに、あなたには何も残らないということです。ですが結果としてこの広大な地位のすべてが除染されて、何らかの生活の支援もされます。この提案はいかがでしょうか。]


母[お金はあったほうがいいですが無くても米国から多少の援助が出ていますので、それで生活ができます。でもそれが無くなると生活ができなくなるので、今の支援が続くようにしていただくのが必須です。


それに貴国からの援助が加われば島民はみんな喜びます。米国からの援助金が無くなると私たち家族はここに住めなくなりますよ。あと、税金がかかる場合はそれも面倒を見てください。]

223

弁護士[それでは訴訟の準備をしていますのでこの書類にサインをするとともに、持参された書類をいただけますか。あとは弁護士の請負契約と金銭の代理受領それと除染の支払い報酬についての契約です。][お疲れさまでした。書類はすべてそろいましたのですぐに提出します。][一年以内に決着がつくと思いますのでよろしく。]


母[はい。承知しました。][お母さん、少ないけれど生活の足しにしてくれるかな。]20万円をそっと渡した。[これはどうもありがとうございます。]娘には小遣いとして3万円とクッキーの詰め合わせをやった。娘[どうもありがとうございます。]


案件の段取りがすべて終わったので、ホノルルに向かった。

サスケ[15兆円というのもまたすごい話ですね。][倍は貰ってもいいと思うけど、世間がびっくりするからな。]長[少し揉めてこのことを世界中に知らしめたほうがいいと思います。米国は恥部を振り撒かれてあたふたしますよ。]サスケ[世界中のマスコミがまた騒ぎますが、良い方向に行くと思います。]

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る