第36話

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[実は問題がありまして、シャネ〇の社長とデザイナーが来て自分のところのと作風が似ていると言いますので、この作風の流れなどを説明したのですが納得がいかないようです。王様のところに行くと言っていましたので、ご迷惑がかかるかもしれません。]


[それは全く気にする必要はないよ。同じフランス風の作風なので似ているのは当然です。いづれは叩きのめさなければならない相手ですので、ビシリとやりますよ。Luiさんには気にしないで作品作りに専念するように言ってください。][はい。ありがとうございます。そのように伝えます。]


すず[尾形りん子さんの作品も強烈です。ウロスさんの作品とは真逆ですね。もろに琳派で派手で強烈な作風が好きな人には向きますね。][単に派手じゃあなくて、作品としても素晴らしいですよ。伝統的な琳派の意匠にオリジナルなものを加えていて、いい感じで調和しています。]

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すず[そうですね。マニアが出そうなものばかりです。ミランさんのはこちらローマそのものという感じですが、イタリア人のデザインは奥が深いのでとても面白そうですね。][2人ともアジア人の顔をしているが、中身は西洋人そのものです。この四ブランドは楽しみだな。]


タクシーで入口に降り立った2人はバリアに阻まれている。いつものように中央で足をバタバタさせている。石松[ど、ど、どんなご、ご、ご用件で。][中に入りたいの。][か、か、勝手には、は、はいればいいでしょ。]2人とも足をバタバタさせていたが、石松に脇にどかされた。小政はこのような人がいたら通せと言われていたので近くに行き[どちらさんで、どのようなご用件ですか。]


[中に入りたいのだけど入れないのよ。][それでしたら案内します。][いらっしゃい。どんなご用件で私が責任者です。]デザイナー[おたくの会社のデザインが私共のシャネ〇と似ているので、このままだとまずいことになりますよ。]

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[Luiはフランス風の作品ですが、似ているのはそれだけですよ。あなたもプロならシャネル〇の作品を圧倒的に凌駕していることがわかるでしょ。まずいことになるのならそのようにしてください。


EUROには腕利きでまだ負けたことが無い敏腕の弁護士を150人揃えています。どうぞここでグダグダ言っていないで訴訟を起こしてください。バチバチにやりましょうよ。但し負けた方がこの業界から去るのは当たり前の話ですよね。居られなくなりますから。


さあ、早く帰って準備をしなさい。]大政[お帰りはあちらで~す。]あっけにとられていたが、そのうちにすごすごと帰っていった。


昴[ああやってきつめに話さなきゃあいけない時もあるのかな。]チヨ[私達にはまだ早すぎるわ。]昴[そうだね。どら焼き食べよう。]

すず[シャネ〇って言ったら一流だけれどもヤキが回ったのかしら、それともLuiの作品が良過ぎて焦ったのかしら。]


[Luiの方がいい作品だから焦ったのさ。]サスケ[四ブランドを一流にしてあちゃらの一流どころの大元の株価を下げていただいちゃう手もありますよね。今までにさんざんやってきたことだけど。]すず[それ面白そうですね。社員割引が増えて楽しいです。]

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クルージングに行くぞ。すずさん夕食は与兵衛の最上寿司で長兵衛、遠州さん、それにおばあちゃんも入れてください。チヨちゃんの両親にもお土産用を準備してください。]すず[はい。行ってきます。]昴[またお寿司だよ。おばあちゃんも一緒みたいだ。]チヨ[儲かったんですね。お寿司はおいしいです。]


昴[与兵衛の卵焼きは最高だ。]チヨ[江戸前は小肌です。]王様の最上階の自宅でおばあちゃんを入れたスタッフ一同が与兵衛寿司の最上握りと料理を食べている。


[焼酎は樽の中に芋43度が入っているので勝手にやってくれ。これがうまいのなんの麦麹の渋さが何とも言えんわな。この樽の別売りもチヨちゃんのアイデアですよおばあちゃん。]


祖母[いつもお土産までいただきまして、申し訳ありません。][今度、船の方で海外に行きますので両親に伝えてください。][ありがとうございます。伝えます。]

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[ブランドにちょっかい出すのも面白そうだな。正芸の言うように3年後と言わず半年から1年後ぐらいまでにいただきましょうか。ヴィト〇にシャネ〇それにヘネシ〇にティファニ〇の4社をまとめていただくというのはやりがいがあるし面白いぞ。]


長[難敵ですのでプロジェクトを組んで本格的にやった方がいいと思います。今からもう始めてもいいくらいです。][ブランドの代名詞を束ねているから、確かに難易度は高いな。でもバラバラよりやり易いんじゃあないかな。本丸にぐさりと入ればいいんだから。]


サスケ[それは言えますが、まず四ブランドを育てましょう。昔の戦国時代、羽柴筑前守は浅井長政の城を落とすために付城を造りました。その要領で行きましょう。こちらも負けない実力派を作るのです。それからですよ。]


[今の路線はその方向になっている。シャネ〇の社長とデザイナーが慌てだしたくらいだから面白いと思うよ。取り合えず4人で暴れまくってそれからだな。セレブ地区でバッチリとはまるものを作りますよ。]

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すず[私もドーンとぶつかっておいて相手を慌てさせておいてからの戦法の方が面白いと思います。相撲と同じで立ち合いにいいぶちかましをすれば、その後に技がいろいろ生きてきます。この四ブランドを抑えることはたいへんに意義深くファッションリーダーの名声を得るとともにヘネシ〇のブランデーのネットワークでお酒の世界にも食い込めますよ。]


[長兵衛さんにも言ってありますがキャビンにコック4人と警護員4人それに侍従2人が追加になります。邪魔に見えるものもいますが、宮内大臣からの要請なので加えなければならない。いくら分身と言えども最低限の要因は必要とのことだ。まあ、目立たないようにさせておくので、そんなに気にすることもない。警護員は主に子供達を見張らせるようにします。


それから犬達は船尾の出っ張ったところでトイレをさせることにしました。波が荒れているときには注意が必要なので、犬用おまるも用意してあります。]


長[従業員部屋の他に客室は20室ありますんで、人員は充分に収まります。問題はほとんどの人が船酔いに免疫がありませんのでその時の対応です。おとなはほっぽっておけばいいのですが、子供の世話は必要です。元気な人がやるようにしてください。]

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サスケ[お酒は43度のほうがおいしいです。これを飲み続けると、25度が飲めなくなるそうですね。]

[そうなんだよな。43度を薄めて飲むんだけど、こっちの方がはるかにうまい。]


サスケ[私もそのように思いました。43度の方がうまいんですが、ブータンの隣家の国境沿い南の方も腕が達者ですね。][私は南の方の麦麹の赤芋の方を一斗樽に入れていて二升樽に小分けして飲んでいるけど、杉の香りと混じっていい感じになっているな。おばあちゃんこれもチヨちゃんが考えたんですよ。]

祖母[そうなんですか。ほっほっほっ。]






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